1.環境認識


新型コロナ感染拡大によって多くの会社が経営危機に陥っていて、既に多くの倒産件数が公表されています。

また、政府や自治体は緊急事態宣言を発して様々な緊急措置(緊急融資、雇用調整給付金、休業協力金、現金給付など)を公表し、実施に移しています。

しかし、これらの施策によって短期間で従来の生活が元に戻るとは考えられません。

新型コロナは全世界に蔓延してその勢いは中々治まりません。中国、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、中東へ広がり、そしてこれからは衛生状態が悪く、医療体制が脆弱な国々、南アメリカ、アフリカ、インドなどの地域へと拡大していきます。

新型コロナウィルスに効く治療薬やワクチンが開発されて医療現場に届くまでは感染の不安、治療への不安感が続きます。この様な環境では当然のことながら世界的に経済活動も停滞して、コロナ蔓延以前の状況に戻るまでには相当長い期間がかかると思われます。

企業はこのような環境認識の下でどんな将来が予想されるのか、どのように対応すべきかを至急に対策することが必要です。


<新型コロナウィルスの感染蔓延とその長期化>

  ➢ 人的接触の防止、禁止(自宅待機、休校、休業要請、テレワーク、時差出勤)

  ➢  消費活動や生産活動の停滞、停止(消費減少、休業、生産縮小、操業停止、解雇)

  ➢  生活資金・事業資金・債務返済資金の不足、枯渇

  ➢  政府による資金支援(現金給付、雇用調整給付金、緊急融資)

  ➢  長期間の経営維持は困難(コロナとの長期戦、新しい生活スタイルを模索)

  ➢  資金不足が継続 →生活破綻(家庭崩壊)、経営破綻(企業倒産)


2.事業維持対策


上記の環境認識が妥当だとすれば、平時の事業活動を前提にした事業計画の策定ではこの状況に対処できません。 端的に言えば、誰でも理解できることですが、売上高の維持、増加を想定した計画では全く役に立たないということです。

最も期待値の高い計画を作るとしても、売上高が半減することくらいを前提にした計画策定が必要です。
数値予想(計画)が無ければ事業継続リスクの大きさが掴めません。

最近、豊田自動車が公表した次年度の売上計画、営業利益の75%ダウンはその顕著な例です。


3.利益(損益)計画を策定する


 1. 売上高は半減するとする(季節変動がある業種では季節変動を加味する)。

 2. 売上に対応する変動費(変動原価)を算出する。

 3. 売上高と連動しない費用(固定費)を抽出する。

 4. 固定費削減の可否、削減可能額を試算する。

 5. 上記に基づいて、損益予算を月別に時系列化して作成する。


以上の損益計画を作成することによって営業資金収支(経常資金収支)を算出することができます。固定費のうちで大きなウェイトを占める人件費については、雇用調整助成金の受給、休職も勘案し、最終手段として解雇も視野に入れる必要があるかもしれません。

これは以下の手続きで想定される資金繰りを分析してからの判断に委ねられます。


4.資金繰り予想(計画)を立てる

 
 1. 設備等の収支を予想(計画)する

 資金流出を抑えて、資金流入の検討が優先です。

  ・現況では設備投資はしない(余裕はない)。

  ・租税支払のためなど必須の資金流出(時期と金額)を把握する。

租税の支払いは様々な特別措置が発令されていますので、これを活用することが 大切です。但し、収支計画では本来納付すべき税額と、延納により資金流出を 先に延ばす金額を明確に区分しておくことが大切です。

  ・資産(遊休不動産、有価証券、保険積立金ほか)の資金化を検討する。

 
 2. 財務収支(資金の調達と返済に関する収支)を予想(計画)する

   ・金融機関別の借入金返済額は償還表に基づいて月々の返済額を把握する。

   ・金融機関以外の債務があれば、この返済計画を加味する。

  ・金融機関からの借入(資金調達)計画を立案する。

現在、特別措置で様々な資金支援策(民間金融機関、信用保証協会、政府系金 融機関など)が発動されました。この活用を工夫してください。


5.損益計画と資金繰り計画の分析と、事業継続(再生)の検討


以上によって出来上がった損益計画と資金繰り計画を更に十分に分析検討して、対策に漏れがないか、可能な手段は残されていないかを検討してください。

借入金返済の資金流出が無ければ事業を継続できるとすれば、リスケジュール(返済猶予)も検討対象になります。リスケジュールか緊急融資(上記)を受けるか否かの選択に際しては、先ず選択すべき手段は緊急融資を受けることです。

しかし、営業収支の赤字補填のための融資であれば今後いずれかの時期に、この債務返済が経営に大きな負担になってきます。

現状での営業収支のバランスを最優先課題として捉えて、営業収支をバランスさせることが重要です。


6.法的事業再生(民事再生法)


現下において既に多くの会社(分けても飲食業、宿泊施設事業、イベント企画運営業等)が民事再生法の適用申請を出すに至っており、このような動きは今後とも増加傾向にあると思います。

なぜなら、悪化した現状の資金繰りを凌ぐための緊急資金融資を受けたとしても、経済環境が好転しない中で、緊急融資に係る返済資金の負担は、既にある借入金の返済と重なって事業経営に大きな負担になります。

この様な状況になった場合での選択肢は前記のようなリスケジュール、最悪は民事再生法の適用申請となります。事業継続を断念するとなれば、会社清算、破産申請もあり得ます。

民事再生手続を選択するか否かの判断ポイントは、例えば以下の通りです。

・会社が破産した場合に一般債権者に返済できる割合(破産配当率)はどれくらいか。

・保有資産の換金可能金額はいくらか。

・会社債務に対して物的保証(不動産担保設定など)と人的保証(連帯保証)の状況はどうか。

・租税公課(様々な税金、社会保険料など)の未払はないか。

・社員への給与や退職金の支給必要金額はいくらか。

・民事再生手続にかかる費用は捻出できるか。

・債権者別の債務金額はいくらか。

・民事再生申立をした場合に顧客、得意先、その他の取引先と従来通りの取引が継続できるか。

・事業支援をしてくれるスポンサー企業はないか。

・民事再生計画(再生計画が承認可決のための利益計画、資金計画)は策定可能か。

・事業継続のために営業債務(仕入代金等)を現金支払いにした場合に資金ショートしないか。


7.結び


以上の通り大変厳しい環境が続くことを想定して、更に経営者は今後訪れるであろう最悪の工程を想定して、その時々の経営方針と対策を至急立案しておくべきであると考えます。

しかし、このような対策立案は非常に難しいので、早めに専門家の助言と支援を得て遅きに失することがないように行動して頂きたいと考えます。

“三六計逃げるに如かず” (孫氏の兵法)


多くの計(図り事や工夫)を実行して全てダメ(敗戦)だったとしても、


最後は逃げて逃げて逃げまくれ! !

命さえあれば何時かはリベンジの機会が必ず訪れます。

頑張りましょう!!


以上


【 野田勇司:公認会計士、税理士、経営革新等支援機関、認定事業再生士 】

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